6代室千重墓棺外出土女乗物
奥州市教育委員会は、水沢の大安寺で境内の留守家墓所の移設に伴う調査を行った。7代村儀ほか7カ所を発掘し、遺骨だけでなく当時の暮らしがうかがえる贅を尽くした副葬品が複数発掘された。水沢の歴史を物語る重要な文化財として保存、公開が成された。
大安寺は、留守家の菩提寺であり、初代政景・2代宗利・3代宗景をはじめ歴代藩主や正室などの墓が20基ほどある。
墓はほとんど地中1.5mの深さに木棺が埋められている形式である。江戸中期に農政などに手腕を奮った7代村儀の墓からは遺骨だけではなく、30点ほどの副葬品が見つかった。金メッキが施されたキセルや金蒔絵、硯箱など、華美な愛用品とみられる。中でも手鏡は、裏面に鶴と南天が浮き彫りにされた精巧なものである。25歳の若さで亡くなった村儀のおしゃれな一面が想像できる。
また、平成27年3月より弘前大学人文社会科学部文化財論研究室で出土品の整理・分析が行われた結果、6代室千重の墓に上級武家の婚礼に使われた女乗物が納められていたことが判明し、その復元図が作成された。女乗物の出土は全国初で、本資料は近世武家社会の婚礼や葬儀を考えるうえで大変貴重な資料である。
平成29年3月には「大安寺留守家墓所副葬品報告会」とし公開報告会を開催し、4月からは水沢武家住宅資料館において、副葬品の展示公開が開催された。
以下は、大安寺から出土した品々。